こんにちわー!K-5です♪(。・ω・)ノ
BAKU-Dan物語【前編】の続きです。
ご法度を犯して牢に入れられたとっし伊衛門の運命は...
どうなってしまうのでしょう?!
今日もまた、どうぞお付き合いください。
.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜
一人ぽつんと牢屋におると、とっし伊衛門も次第に心持ちが落ち着いてきたんじゃな。
「そうじゃ...新しい御法度は数日前に御触れが出たばかりで、わしも頭に浮かばんかった、村のみんなもそうじゃろう...
それを、わかってて黙ってたじゃろう、なんて...さもしいことを...」
「ああ、夏之介には本当にひどいことを言うてしもうた...
あいつはわしのことを心から友と思うてくれておった、そんなことはようく分かっておったはずじゃ...なのに...」
村のみんなや夏之介に吐いた悪言を後悔するようになった。
そして村が恋しくなった。
「ああ!村に帰りてえなあ!
そんでもって、みんな、とりわけ夏之介に詫びてえ!」
そんな後悔の念を、観音様が聞き届けてくだすったんじゃろうか。
数日後、夏之介が牢屋を訪れたんじゃ。
「とっし伊衛門!!大事ねえか?!」
「な、な、な、夏之介でねえか!!」
「ああ、かわいそうに...こんなに痩せ細って...はないようじゃな、安心したわいw」
「感動のご対面になかなか失礼じゃなあw」
とっし伊衛門は、夏之介が牢屋まで会いに来てくれたことがそれは嬉しかった。
しかしまた、あの日自分が浴びせた悪言が後ろめたい思いであった。
「夏之介...あの時わしは...おめえにひでえ事を言うてしもうた...」
「あ~あの、友達と思ってねえだろ!とか、見下してるだろ!とかってなあ!
いや~、やべえ!バレてた?!って超あせったわ~www」
「エエェェΣ(゚д゚|||)ェェエエ」
「うそうそ!冗談じゃよ~~❤」
「もう~~夏之介ってばよ~~❤」
夏之介のいつもと変わらぬ態度に、とっし伊衛門は安堵した。
「しかし夏之介、おめえ、なしてこげなところへ...?」
「そうじゃ!イチャイチャしとる場合でねえ!
とっし伊衛門、今な、なんとかおめえを放免してもらえるように、村のみんなで奉行所に掛け合ってんだ。」
「...!!!」
とっし伊衛門はようやっと気が付いたんじゃ。
村のみんなが、とっし伊衛門のことを大切な仲間じゃと思うてくれておったことにな。
「とっし伊衛門...村長のひで爺さまが気にかけておいでじゃったぞ。どうもあいつはからかわれておると思うておるようじゃ、ってな。
でもよう、本当に嫌われておったら口も利いてもらえんじゃろ。
村のみんな、おめえのことが好きなんじゃ、それは間違えねえ。好きだから、かまいたいんじゃ。」
「だから今頃も、ひで爺さま筆頭に、きる職人の伸之介さん、機械工の陽一郎さんの御三家や、あと若い衆も、みんながあちこちへ嘆願しとるんじゃ。
そうそう、庄屋の娘のおけいも、とっし伊衛門以外にわたくしのバリケになれる者はいませんことよ!ってな、愛銃かかえてお奉行に殴りこもうとする騒ぎじゃwあンれは嫁のもらい手がねえだなw」
とっし伊衛門の心に、みんなの顔が浮かんだことじゃろう、涙が止めどなく溢れた。
「まあ、そんなわけでな、まだどうなるかわからんが、みんなが手を尽くしとる。
もうちいと辛抱して待っててくれな!とっし伊衛門!!」
「うん...うん...有難うなあ、夏之介...村のみんな...!!」
そう二人は牢の格子越しに手と手を重ね、友情を確かめ合うた。
...これこれ、おめえさん、泣きすぎじゃ、ほれ、涙...いやまず鼻を拭け。
なんだかおめえさんは、庄屋の娘に似ておるのう、喜怒哀楽が激しい娘じゃったわい。
それからお沙汰が出るまで、夏之介は度々牢屋を訪れて、とっし伊衛門を励ました。
そしてとうとう、お沙汰が出た...
それはのう...
切腹じゃ。
村のみなの尽力のお陰で情状酌量となり、結果、切腹。詰腹じゃの。
そうでなければ打ち首、咎人となるところ、大分の減刑じゃ。
じゃが切腹は武士の誉れといえど、やはり死ぬることに変わりはない。
村のみなは無念の思いに肩を落とし膝をついた。
「無念じゃ...とっし伊衛門...許せ...」
しかしとっし伊衛門は落ち着いておった。
「ええんじゃ、みんな...わしは幸せじゃ。こんなにもみんなに尽力してもらえての切腹じゃ。ほんに誉れに思う。有難てえことじゃ。」
そう清々しい顔で言うんじゃな。
おそらく、村のみんなの心に自分という存在がある、その矜持が持てたのじゃろう。
矜持、誇りじゃ。それが何かは人それぞれ違えど、矜持があれば人は腹をくくれるもんじゃて。
ところが、夏之介は違うた。
「なんでじゃ...こんなにもおねげえしとるのに...なんで放免にならんのじゃ...!わしは納得いかんぞ!!」
今にも愛銃 久留津を両手(?)にお奉行に殴りこまんばかりに、怒りを、悔しさを、全身に滾らせ戦慄いた。
そんな夏之介の手を取り、とっし伊衛門は笑顔で言うた。
「夏之介、ありがとうなあ、わしのためにいろいろ世話をかけたなあ。
なあに、あっちでおめえのやかましい発砲音が聞こえたら、背中めがけて親愛砲火するからよ、被弾申告してくれよなw」
「とっし伊衛門...おめえ、こんなときまで何言うとるんじゃ...冗談は存在だけにせい...w」
「...おめえは最後の最後まで冗談が辛辣じゃのう❤」
いつものきゃっきゃうふふな二人の、最後の姿をそこに見ることができた。
「そうじゃ夏之介、おめえに頼みてえことがあるんじゃ。」
「なんじゃ、なんでも言うてくれ。」
「うん、おめえにな、わしの介錯を頼みてえんじゃ。」
介錯というはの、切腹人ができるだけ苦しまないために太刀で首を落としてやることじゃ。
しかしこれが難しいことで、剣術の腕の立つ者でないと勤まらん。
「いやいやいや、無理じゃよ!あれは剣の腕の立つ者じゃねえと!鉄砲撃ちのわしじゃできねえよ~~汗」
「大丈夫じゃ!なんでも器用にできる夏之介ならできるできる❤」
「おだてても、わしはおめえじゃねえから木には登らんぞ!」
「いや、だから...冗談が...まあええわい。
とにかく、おめえにしか頼みたくねえんじゃ。
おめえの介錯で、わしは旅立ちてえ。」
「...とっし伊衛門...そこまで言うなら...わかった、わしも漢じゃ!腹をくくって引き受けよう!」
「ありがとう...夏之介!これでなんも心残りはねえ...」
斯くしてついに、とっし伊衛門切腹の時がきた。
.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜
ああ!なんて美しい友情!
とっし伊衛門はどんな最期を迎えるのでしょう...
また次回に続きます。
ここまでお付き合いありがとうございます♪ヾ(´ω`)ノ